左はなんだか良く分からない山伏(やんぶし)峠での写真。
11月も終わる頃に2000m近い峠を越えようとするとこういう目に遭う
というお話である。
1998年11月22日−11月23日
井川雨畑林道ツーリング
【1日目】
 当初は2泊3日で甲府から丸山林道や南アルプス林道も行こうとか思っていたが、どうも寒そうというのと、この時期キャンプ2泊はつらいと弱気になってのことだった。ということで、MTBツーリングマップ(山海堂)に沿う今回のコースとなった。

---晴れ区間---
 南武線−中央線−身延線、と乗り継いで、波高島駅8:27着。朝4:45に乗って3時間半、乗り継ぎは良いのに・・・
 さて、自転車を組み立てると、キャンプ用品を入れた袋をリアキャリアに留めるゴム紐がない。どうも忘れたようだ。しょうがなく、テントやら着替えやらを圧縮する役目を担っていたストラップを繋いで荷物を留めることにする。何とかなったが、荷物の点検はちゃんとやろう。
 私の家財用具は、ギアコンテナ(モンベル)に詰め込んでいる、全部で重量ジャスト5kg。テント+シュラフ類+マット類でこの重さである。
 これをリアキャリア上に積むのが最近の(この後の)パターン。1週間以上でもなければ、サイドバッグの出番はなし。着替えや炊事道具やらはザックに入れて背負う。

 雨畑橋まではほとんど平地、体を温めるのにちょうど良い。
 雨畑橋着。右からの道が南アルプス林道からの道だ。ここは左へと向かう。
 雨畑湖の手前でウィンブレを脱ぐ、この辺は快調で気温的にも暖かい。
 雨畑集落は硯で有名らしい、看板が多い。子供が遊んでいて、目が合うと、ぺこりとお辞儀してこんにちは、と挨拶してくれる。その純朴さがたまらない。
 きつい登りと楽な登りとが繰り返す展開で、登る身には割と楽だ。
 その後も稲又川橋、長畑とそんな感じで、この間の甘利山より楽だとこの辺では思っていた。

---曇り区間---
 おそらくあそこまで登るのだろう、という山頂付近には雲がかかっている、何かイヤ〜な予感を抱きながら走る。
 そのうち、日が陰り、山からの吹き下ろしの風を受けるようになる。
 12:00に標高1000m(30km)地点に到着し、ちょっと休憩、出てすぐ買った卵焼きとパンを食う。ウィンブレを着直し、グローブを指切りから冬用の厚手のものに変える。実際、この辺から結構寒かったりする。
 出発してすぐ、苦(たの)しい苦(たの)しいダート登りになる。この林道は登りダートで、静岡側の下りが舗装となる。しんどいかと思ったが、意外とちょうど良い(4〜6%)登りで、後ろにキャンプ道具を積んでいても楽に登っていける。復帰戦にはちょうど良い。
 荒涼とした登りは去年か一昨年かの大弛峠を彷彿とさせる。
---雪区間---
 1400m地点で小休止、ふと空から白いものが落ちてきている。ありゃ〜、雪降ってきたよ。ま、大体予想できたけど。
 凍った沢、橋、白くなったダート、すぐ止むかと思ったが、登れば登るほど雪はその降りを増していく。すっかり周りは雪景色となってしまった。
 休み休み登り、自転車にも雪が積もり、髪も凍ってぱりぱりになった頃、山伏(やんぶし)峠到着。14:20、45km(1850m)。1回の登りで標高差1500m超はほとんど記憶がない。こんなのこんな時期にやるなよ。
 休む気もなく、更に寒さ対策を施し、すぐ下り開始。
 静岡側は舗装だが、アスファルトにも雪が積もっている。落車が怖くて全然スピードが出ない。
 どこまで下ったか、雪がちょっと切れたところで一休みしていると、登りの車から上の様子を聞かれる。寒さで口が全然動かず「上は雪が積もってます」が、まるで日本語でない様に発音されていたようだった。
---小雨区間---
 とにかく、小河内まで下りてくる。ここまで来るとさすがに雪はなく、小雨である。上だけ天気悪いかと思っていたが、この辺(700m)も小雨でいまいちだ。ただ川は飲料水が流れているかのように澄んでいて感動する。
 
 田代の集落にはオートキャンプ場があるが、テント一張り3500円に呆れ、(こんなものなのだろうが)通過する。ここで素直に入っていれば・・・
 15:30、屋根のあるバス停で今後の予定を考えるが、マイルチャンピオンシップ(競馬)の様子も気になると、ラジオを取り出し聞き入る。しかし、持ってきたラジオは良いところで何故か聞こえなくなってしまう(競馬の結果は結局この時点では分からなかった)。
 その後井川湖対岸の、小河内林道に行こうとしたが、日照時間を考えるとダメっぽいと、途中で引き返しと、時間を悪戯に無駄に過ごし、井川湖周囲の南アルプス公園線(県60)のアップダウンを飛ばし?16:20辺りに大井川鉄道の井川駅に着く。

 この辺、すっかり思考能力が無くなっていて、当初、寸又峡温泉の方に行こうと思っていたが、道を間違え、かなり行き過ぎてから間違いに気が付き引き返したが、時間的にもはや寸又峡方面には行けないと、そっち方向は諦める。しょうがなくさっきかなり登ってしまった、南アルプス公園線をもう一度登り始め、井川少年自然の家を目指すことにする。
 混乱した頭には、駅の案内看板の自然の家まで8kmという文字だけがあった。確か登り基調だと地図の記憶はあったが、結局8km全部登りだった・・・
 真っ暗になり、ライトを出すのが面倒で無灯火で登っていたが、(体内時計で)かれこれ1時間弱、さすがに不安になり、路側に自転車を停め、ライトと地図を出し、場所を確認するが、地形図に道が多く何かよく分からない。途方に暮れて辺りをライトで照らすと、数十m先に看板が見える、何かと思い、先へ進んでみると、それは自然の家への分岐を示す看板だった・・・
 自然の家は休館中だったが、それは想像できる結果であり、入口は、鎖で進入禁止を主張していたが、見なかったことにして敷地内に入った。ご免なさい。中は荒らしませんので。
 なるべく人目につかなそうな所を選んでテントを張る。タダは良いのだが、結局道中ビールは買えなかった。更に、敷地の水道は調べた限り全て元栓が閉められており、水が手に入らない。戻る気力もない。しょうがなく、晩御飯抜きで、持ってきたレトルトカレーを生で食うだけとなった。
 標高1000mのキャンプとなったが、テント下にシート+テント内にグランドシート+エアマット、で寝具はモンベルダウンハガーUL+シュラフカバーではまだちょっと不足で、何度も目が覚める夜だった。多分氷点下ちょいというところだったのだろう。

テントサイト。フィールドアスレチック。

富士見峠からの南アルプス。雪化粧。

口坂本温泉。すっかり生き返る。
【2日目】
 6:45に起き出す。ビタミンのタブレットだけの朝食だ。寂しい。
 7:30にテント片し出発。キャリアが溶接部分で1カ所折れているのに気づく。確かこのキャリア2000kmちょいしか使っていない。アルミのキャリアはやはりあまり耐久性が無いようだ。キャリアは「鉄」なのだろうか。
 7:45、どうやら敷地内に人がいなそうなので自販機でコーヒーを買う。と、よく見ると、エビアンの280mlのビンがある!昨日は気づかなかった。ショック・・・
 あらためて飯を作る気はなく、とっとと出発する。
 南アルプス公園線を登る。
 路面はあちこちで凍結していて気を使うが、10km/h出ないくらいなので大したことではない。早朝の車の少ない時間帯は気持ちいい。泊まりだと朝の山奥でこういうことが出来るのが良いところ。
 昨日は真っ暗だったし、ガスも出ていたので景色はさっぱり分からなかったが、今日はすっかり快晴、見事な景色だ。遠くに雪化粧した南アルプスが見える。あれは光岳か赤石岳だろうか?
 8:28(6.4km,1180m) 富士見峠に到着。富士山は邪魔な林の彼方に、ひょっこり頭を出していた。
 いったん来た道を下り、側道から大日峠に向かう。
 8:52(9.6km,1100m) 大日峠着。ここからダウンヒルだ。
 景色を見たい&寒い&凍結路恐怖症&狭い道の対向車が気になり、ゆっくりと下っていって、
 9:15(18.2km,500m) 口坂本温泉着。入湯430円。露天の岩風呂もあり、この料金は安い!しかし観光客や地元の人でめちゃ混み。
 開館が9:30なので、駐車場脇のベンチで朝食えなかったフリーズドライリゾットを作り食べる。温泉から出た後、近くの山喜食堂でビール2本とおでん(900円) を買って飲み食い。今日は下りなので、すっかりのんびりモードである。
 10:40発。
 さて、後は、11:20 上助(33.7km)、11:33 油島(38km)、と来て静岡駅に12:34(57.7km,40m この標高は時計表示)着。
 最近、なんていうか、レーパンにヘルメットというのも全く恥ずかしさがなくなったが、こういう都会をコテコテのレーサーウェアで走るのはやはり浮いているのだろうか?いるだろう。
 後は新幹線で帰途につき、16:00過ぎに家到着。結構疲れた。